出前館が2021年8月期の決算で179億円の赤字を発表。
また今後一年間で500億円以上の赤字を見込んでまで、さらに積極展開していくことを発表しました。
この出前館の強気の経営方針の裏には何があるのでしょうか?
2020年10月に発表した中期経営計画から、既に状況が大きく変わってきています。
今回は出前館の2022年時点の経営状況と、それに伴う注文者や配達員の動きについてまとめます。
この記事でわかること
- 出前館の中期経営計画とは?
- 最新の決算の状況は?
- 2021年11月からの動向は?
- 今後出前館はどうなっていくのか?
目次
出前館の中期経営計画とは?
中期経営計画は、2020年10月に出前館が発表した3ヶ年経営計画。
出前館は2020年にLINEグループから300億円の出資を得て、「3年間で業界首位のシェアを奪り黒字にする」計画を発表します。
2020年秋から、初回注文者への大幅割引クーポンが恒常的に配布され、配達員への配達報酬が割増され、テレビCMなどの広告が増えていきました。
それから一年経って状況を確認すると、確かに売上やアプリ利用者数は増えていますが、コロナ禍でフードデリバリー全体の需要が増えたこともあって他サービスを大きく引き離す事はできていません。
2021年9月時点までのアプリユーザー数
2020年発表の中期経営計画での、2021年8月期の営業利益目標は130億円の赤字でした。
そして2021年8月期決算で発表した営業利益は179億円の赤字。
赤字幅が拡大した割には成果が見合っていないように見えます。
当初の予定では2021年秋からは積極投資フェーズから徐々に回収フェーズへと移行し、2023年8月期までに黒字に持っていく計画でした。
LINEから出資してもらった300億円も一年で半分以上使ってしまい、このままうまく行かずに頓挫してしまうのではと多くの人が思いました。
その中で発表されたのが、今回の2021年8月期決算でした。
最新の決算の状況は?
販管費・管理費が極端に増えている
出前館の2021年8月期通期決算説明会資料によると、赤字を拡大している大きな原因は「広告宣伝費」と「売上原価」。
広告宣伝費
出前館の広告宣伝費とは、テレビCMやWeb広告などの宣伝費に加え、「注文者向けの割引クーポン」が大きな割合を占めています。
売上原価
出前館の売上原価の多くは、「業務委託配達員への配達報酬」です。出前館は多くの配達員を囲い込むため日本一の高額報酬を設定して配達員を募集しています。
注文数・加盟店数・ユーザー数は増えている
強気の経営方針を崩さない出前館
出前館は2021年9月に、第三者割当増資による新株発行によってZHDなどから800億円超の資金調達を行い、さらなる積極投資を進めていく方針を発表しました。
800億円の使い道
- 650億 CM・クーポン
- 100億 システム改修
- 50億 配達員確保
これによって2020年10月に発表した経営計画とは方針が変わり、2021年9月〜2022年8月までも積極投資期間となりました。
2022年8月期の目標
- 売上 昨年比2倍
- 配達員数 昨年比3.6倍
- 営業利益 500〜550億円の赤字
新しく得た800億円のうち550億円を たった「一年で」使って、本気でUber Eats (ウーバーイーツ)を倒しにいくぞ、という強い気持ちが伝わってきます。
2021年11月からの動向は?
10月に決算が発表されてからの出前館の動きはとても早かったです。
「2021年11月から2022年1月までの3ヶ月間」、「首都圏エリア」に絞って本気のキャンペーンを仕掛けてきます。
キャンペーン内容
- ヒカキンさん・はじめしゃちょーさんコラボ
- CM・広告超拡大
- 3ヶ月間全商品送料無料
- 半額Weekスタート
- 新人配達員スタートダッシュキャンペーン
コラボCM・コラボ広告
2021年11月から2022年1月にかけて、出前館は首都圏の全注文で基本送料420円を完全無料にする「送料無料祭」をスタート。
大人気Youtuberの「ヒカキン」さんと「はじめしゃちょー」さんとコラボして大々的な告知が始まりました。
宇宙飛行士編
ソーリョー節編
新宿駅や渋谷駅などの主要駅で交通広告ジャックも行われました。
広告ラボより
半額Weekスタート
吉野家、日高屋、銀だこなどの有名チェーン店の対象商品が半額となる「半額Week」をスタート。
半額ウィーク概要
- 期間 2021年11月5日〜2022年1月27日
- 内容 週替わりで4店が選ばれ、対象メニューが半額
出前館の半額ウィークは2021年11月から9週間連続で、対象チェーン店の対象商品が半額で注文できる、超お得なキャンペーンです。
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新人配達員向け「スタートダッシュキャンペーン」※終了しました
スタートダッシュキャンペーン概要
キャンペーン期間内に出前館の業務委託配達員に新規登録すると、期間内の全ての配達の基本報酬が30%上乗せされます。
首都圏の配達報酬は距離にかかわらず一律一件715円(税込)。
これが 3ヶ月間ずっと130%の930円となるのです!!
さらにここにエリアごと、時間帯ごとの倍率ブーストが最大2.0倍かけられます。
よって最大で1配達の報酬が「今登録した初心者配達員限定で」1640円になります!!
スタートダッシュキャンペーン対象エリア
出前館初心者配達員向けのスタートダッシュキャンペーンの対象エリアは首都圏エリアのみ。
対象エリア
東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県
スタートダッシュキャンペーン対象期間
対象期間
2022年1月20日までに初めて出前館配達員に登録した方に対し、2022年1月31日まで報酬アップ
今回のキャンペーンのすごいところは、最大で3ヶ月間ずっと全ての報酬が30%アップされるところです!!
登録完了した時点から2022年1月末までの報酬がすべて上乗せされます。
ちょうど業界首位のUber Eats (ウーバーイーツ)の配達報酬が落ち込み、東京エリアを中心に「1配達報酬が300円」になることが増えてきたタイミング。
これは出前館にも登録する配達員が増えそうです。
配達員は法人委託化が進んでいる
個人業務委託から、法人業務委託へと徐々にシフトしてきています!
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今後出前館はどうなっていくのか?
出前館が今どのような状況にあるのか、お分かりいただけましたでしょうか。
LINEグループのとてつもない資金力を背景に、赤字を厭わず全力でシェアを奪いにきています。
果たしてUber Eats を倒して業界首位となる事はできるのでしょうか。
個人的な意見としては、「注文アプリと配達アプリを全面的に改善しない限り首位奪取は厳しい」と見ています。
Uber Eats のアプリと比べて、出前館のアプリは使いにくいです。
割引クーポンをいくら配っても、配達員報酬をいくら上げても、広告をいくら出しても、一時的には売上は上がると思いますがその後ユーザーが定着していくかは疑問です。
ただ、注文システムと配達システムが大幅に改善されてUber Eats より使いやすくなるようであれば、この戦いは面白くなっていきそうです。
今回調達した800億円の資金のうち100億円をシステム改修に充てると発表していますから、今まさにエンジニアが理想のシステムを作っているところなのかもしれません。
この出前館の積極投資攻勢は、少なくとも2022年8月までは継続します。
あと一年間は間違いなく、注文者・配達員がお得に注文できたり高い報酬を得られるでしょう。
まだ出前館を利用したことのない方は、お得に利用できる今のうちに出前館に登録するといいですね!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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